金融庁の許可を受けた仮想通貨取引所(暗号資産交換業者)では、主に「取引所」と「販売所」の方式で仮想通貨が売買されています。
取引所の口座を開設してみたものの、「取引所」と「販売所」の文字が並んでいるのを見て困惑した経験はありませんか?
そのどちらでも仮想通貨の売買は可能です。
しかし違いをしっかりと把握していないと高い価格で購入、安い価格で売却することになってしまいます。
本記事ではこれから仮想通貨を購入しようとしている初心者へ向けて「取引所」と「販売所」を比較しご紹介します。
また、取引方法についても解説するので参考にしてください。
取引所と販売所ではどちらがお得なの?
結論から申し上げると取引所方式で売買するほうがお得です。
取引所と販売所の大きな違いは以下の通りです。
- 取引所方式 – ユーザー同士で売買を行う
- 販売所方式 – 取引所の運営会社を相手に売買を行う
取引相手が違うということですね。
ユーザー同士が売買を行う取引所方式のサービスを提供する一方で、販売所方式での売買も行っている取引所が多いです。
例えばコインチェックであればビットコインは取引所方式と販売所方式の両方で取引ができます。
対してアルトコイン(ビットコイン以外の通貨)は販売所方式でのみ取り扱っています。
それではそれぞれの方式の違いについて次項でさらに詳しく解説していきます。
取引所方式の詳細
取引所方式は“板”を使いユーザー同士で売買を行います。
この板というのはユーザーが出している注文を価格順に並べているものです。
板を見れば「いくらで、どのくらいの量」の注文が出されているかがリアルタイムでわかるんですね。
上記の画像だと
- 一番安い売り注文が「2,004,897円で0.005BTC分」
- 一番高い買い注文が「2,004,422円で0.17BTC分」
となります。
どこの取引所でも同じなので必ず覚えておきましょう。
注文の種類について
買いor売りの注文方法は2種類あります。
指値注文 – 売買する価格を自分で決めて注文を行う。
成行注文 – 価格を指定せず即座に自動で売買を成立させる。
成行注文は「買い」であれば板に並んでいる注文から一番安い価格で、「売り」であれば一番高い価格で即座に取引を行います。
取引所によっては注文方法で手数料が異なる

取引手数料を見ると「Maker」「Taker」と分けて表記している取引所が多いです。
まずはこのMaker、Takerについて解説します。
Maker – 指値注文を行い板に注文を並べること
Taker – Makerの出している注文に対して取引すること
成行注文は板に並んでいる注文で即座に売買させるので必ずTakerとなります。
指値注文の場合、注文価格が既に板に並んでいる場合はTakerとなります。
例えばすでに100万円で出ている売り注文に対して、100万円の指値で買い注文を行うような場合ですね。
必ずしも指値=Makerとはならないのでご注意ください。
また、手数料がかかる場合は一般的に取引手数料はMakerの方が優遇されているということは覚えておきましょう。
販売所方式の詳細
販売所方式では取引所の運営会社を相手に売買を行います。
レートは取引所が決めているので取引所方式のように自身で価格を決めることはできません。
販売所での価格は購入・売却でそれぞれ違ってきます。
※2Wayプライスという
販売所での価格は取引所価格を基準に「買うときは高く、売るときは安く」設定されています。
例えば取引所でビットコインが100万円で約定したとします。
そのときの販売所での購入価格は103万円、売却価格は97万円くらいになっています。
この購入と売却の価格差のことをスプレッドといいます。
そして、このスプレッドが取引のコスト(実質的な手数料)となります。
スプレッドの設定は取引所ごとに異なりますが、取引所価格の±3~5%くらいなことが多いですね。
取引所に比べて販売所での売買は不利だとお分かりいただけるかと思います。
販売所のメリットと言えるのは取引所が必ず購入・売却に応じてくれるという点です。
取引所方式だと値動きが激しいときなどは注文が通らなかったり、板に並んでいる注文が少ないケースがありますから。
ほかには販売所で定期的に購入を行う自動積立サービスなんかもメリットだと言えますね。
取引所方式での注文方法

- いくらで
- どのくらい
- 何円分
- 売り 買い
まずは①に購入・売却したいレートを設定しましょう。
「○BTC分注文したい」場合は②を。
「○円分注文したい」場合は③に数量・金額を入力してください。
どちらか入力するともう片方にも反映されます。
あとは④の売るか買うかを選択して注文ボタンを押下すれば完了です。
多少のレイアウトの違いはありますがどの取引所でも基本操作は同じです。
注文時の注意点
成行注文であれば確実に注文通り購入・売却されるのですが、指値注文の場合はそうとは限りません。
出した注文に応じる人がいなければいけませんからね。
指値をしても必ず取引が成立するとは限らないので注意です。
また、成立したと思っても一部しか成立していないということもあります。
まとめ
- 販売所方式に比べて有利な値段で取引ができる
- 注文方法を選べるので自由度が高い
- 注文方法がやや複雑
- 取引相手がいないと注文が成立しない
- 買値売値だけの表示なので取引がシンプルでわかりやすい
- 積立サービスなど自動買付に対応している
- 取引所形式に比べて買うときは高く、売るときは安くなる。
それぞれのメリット・デメリットを並べましたが圧倒的に取引所方式のほうが良いと思っています。
スプレッド影響はかなり大きいですからね。
やはり一番経済的メリットがある方法で取引を行いたいところです。
販売所方式と比べると操作などが複雑ではありますが、一度覚えてしまえば何も難しくありません。
それに初心者でもわかりやすいようにどの取引所も工夫しているので初めての取引でも問題なく利用できるかと思います。
スプレッドの影響で儲けにくい販売所を使い続けるよりも、早めに取引所方式に慣れることをおすすめします。